野川の水量観測

野川は頻繁に流水が涸れてしまい、カラカラに乾いた川底を露骨に現わします。
野川は頻繁に瀬切れが起き、その度、野川で生きていた淡水水魚類やトンボのヤゴ類など多くの生き物の命が絶えています。
野川ほたる村は、水から水位や水量の観測を続け、行政機関にも、野川の流れが途切れないように、働き掛けてきました。
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 ■野川の渇水期の漏水量調査

国分寺市は、H11年に姿見の池を復元し、翌12年に「JR武蔵野線の地下水を姿見の池に導水する協定」を結び、13年に姿見の池から
野川に至る恋ケ窪用水を復元しました。
野川ほたる村は、野川へも分水するように各方面に運動し、14年に導水が開始されたのですが、その流量増加は乏しいものでした。

野川ほたる村は、野川の流量増加が進まないので、流水の損失を少しでも減らすために、H14年に北南建事務所に届けて乾季の短期間、
野川に簡易な木製セキを作り、流量を観測し漏水量を推定することにしました。
H14年3月17日に、荒牧橋上流地点と天神橋上流地点で流量を観測し、その1kmの区間で貴重な流水がどのくらい、漏水し地下に
浸透しているかを調査しました。
 


1.観測時期    平成14年3月17日(日)  天気(晴れ)
2.観測位置    荒牧橋上流地点および天神橋上流地点
3.観測方法   
1)野川の低水敷きで、流水をセキ板でセキあげ、越流水深を測り,計算式により、流量を算出した。
2)計算式
      Q = KBh^(3/2)
         K=1.785+(0.00295/h+0.237×h/D) 
      Q;越流量 (m3/s)   B;越流幅(m)  h;越流水深(m)
      D;水路敷きからセキ縁までの高さ(m) 
4.観測結果

1)荒牧橋上流地点
B=0.94m、D=0.19m、 h=0.023m と観測され、越流量Qは、
     Q = 1.90×0.940×0.00349 = 0.00623 m3/s
       = 6.23 l/秒 = 538m3/日

2)天神橋上流地点
B=1.00m、D=0.20m、 h=0.016m と観測され、越流量Qは、
     Q = 1.90×1.00×0.00202 = 0.00384 m3/s
       = 3.84 l//秒 = 332m3/日

5.結論
3月17日は、荒牧橋地点で6.23リットル/秒の流量が天神橋地点では3.84リットル//秒に減少している。
荒牧橋地点と天神橋地点の約1kmの区間で、毎秒2.39リットル、日量206 m3の野川の流水が浸透などにより失われている。
すなはち、38%もの流水が浸透などにより失われていることが分りました。


今回の調査結果から、流量が少ない時期には、1kmの区間で38%も漏水して失われていることが判明しました。
小金井市内を流れている野川は、H14年から粘土張り工事が行われ、H26年度には二枚橋までの全線の工事が完了
します。
決定的な瀬切れ対策にはならないまでも、野川の粘土張り工事が全て完了すれば一定の効果が期待できそうです。


   ■野川の水位観測

H15年の2月から野川の水位観測を始め、瀬切れの状況を把握することにしました。

(注) 観測地点で、水位5cm以下では溜まり水となり、野川は流れていない状況となる。

残念ながら、第一調節池越流堤の工事のため上流がセキ止められ、H19年7月で観測中止となりましたが、
この5年間でも3年に瀬切れが起きて、野川の多くの途絶えて、命を繋ぐことができなくなりました。
特に、H16年の瀬切れ期間はたいへん長くなり、瀬切れ区間は、前原小学校辺りから二枚橋下流の東八道路の
富士見大橋までの間となり、野川は無残な姿を晒して乾いていました。


   ■野川の流量および湧水量の観測

野川ほたる村は、H15年から、野川の水位または流量の観測を続けてきました。
写真は、三角セキで湧水量を測定している写真と、野川で浮きを使って流速を測定している写真です。
H25年時点で、野川は、鞍尾根橋〜第一調節池の区間の全線で川底の粘土張り工事が完了しました。
そこで、H25年に、鞍尾根橋と小金井新橋の地点の流量を観測し、漏水防止の効果を見ることにしました。



この観測結果から、鞍尾根橋地点の流量と湧水からの流入量の合計から小金井新橋の地点の流量を差引いた流量
が漏水により失われた流量だと考えられるので、粘土張り工事の漏水防止効果を評価できます。
差引の流量は、月によりばらつきが大きく、地下水位、計測誤差などの要因が分離できず、その効果を判断できないようです。
今後も引き続き、観測を続けて、粘土張りの効果かが発揮されて、瀬切れの期間が減少することを願っています。






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